劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~ 舞台探訪

探訪日:2018.11.09~11

 2018年9月に公開された「劇場版 夏目友人帳~うつせみに結ぶ」。2008年の最初のアニメ化以後、10年間で6回のテレビアニメシリーズが放送された人気シリーズが満を持しての完全新作劇場版公開と相成りました。本作はシリーズ初の長編オリジナルエピソードということで、切り絵作家の容莉枝とその息子・椋雄という二人のゲストキャラを軸に、彼らが住み、そして夏目レイコもかつて暮らした「五丁町」をメインの舞台として物語が展開されました。
 そんな劇場版夏目友人帳の舞台探訪ですが、やはり一番の目玉は「五丁町」のモデルとなった町かと思います。夏目たちの住む町からはバスで少し行った所にある、山間の町として描かれた五丁町ですが、その風景モデルとなった町は、実は熊本県の海沿いにありました。熊本県の真ん中付近で、海に向かって突き出している宇土半島の、南岸真ん中付近に位置する宇城市の「松合(まつあい)」という地域がそれ。古くは交易拠点の港町として栄え、その当時に建てられた白壁の土蔵が多数残る町並みを特徴としています。先述の通り、作中の「五丁町」は山間部なのに、モデルの「松合」は実際は海沿いであるなど、全ての景色が完全に一致するわけではなく、あくまでも「五丁町」という架空の町の風景を描く際に参考にした、という程度ではありますが、松合の町を歩いていると作中で描かれた「五丁町」の雰囲気をよく感じられますし、個々の建物に関しては作中でほぼそのまま出てくるものもあるなど、比較的一致度は高いようでした。昔ながらの建物や路地が多く残る海沿いの町というロケーションは、純粋に観光として町歩きを楽しめる風情もあり、なかなか楽しい町でした。

 本エピソードの舞台は五丁町だけでなく、夏目たちが暮らしているいつもの町も出てきますので、「天狗橋」などテレビシリーズからお馴染みの人吉球磨地方ももちろん登場します。劇場版の制作に当たっては新たにロケハンも行われたようで、このエリア内でも初めて登場したスポットが多数あり、筆者のように過去に何度も人吉に行ったことがある人にとっても新鮮味あふれる探訪になりましたw

 本記事ではそんな劇場版夏目友人帳の舞台を紹介していきます。ただ、劇場版なのでテレビシリーズでいつもやっているように比較画像と実際の景色を詳細に比較して……というわけにはいきません。現地でも映画を見ながら書いたメモを頼りに、記憶を呼び覚ましながらの撮影となりましたし、こうして記事にするに当たっても、どの建物がどのようなアングルで出てきたかは曖昧なまま掲載しています。劇場には数回行ってそれなりに詳細なメモを作っているので、大きく外してはいないと思いますが、アングルが違うモノ、実は出てきてるけど載せられていないモノ、逆に載せてはいるけど実は出てきていないモノ、いずれもあるかと思います。その点ご了承の上本記事をご覧いただけると助かります。(Blu-ray等が出たらちゃんと比較して再訪問予定です。)
ただ、映画を見ていれば「なんか見たことある!」ぐらいは思っていただけるかと思うので、そんな感じのモノとしてお楽しみ下さいw

掲載地点一覧
松合地区(宇城市)~「五丁町」のモデル天狗橋、毘沙門堂(人吉市)三日原観音(人吉市)魚背岩、立岩(あさぎり町)宇土市民会館黒肥地地区(多良木町)八代駅周辺球磨川サイクリングロード(あさぎり町)県道15号線・那良口橋(球磨村)県道304号線・一勝地付近の線路沿い(球磨村)肥薩線・坂本駅(八代市)

松合地区(宇城市)~「五丁町」のモデル

 まずはメイン舞台の「五丁町」のモデルから。前述の通り、この町は熊本県宇城市の松合地区の風景を参考にして描かれました。
 まずはキービジュアルから。少し古い街並みの中に夏目たちが佇むこのイラストも、松合の風景をモデルに描かれています。…といっても実際の景色をそのまま描いたわけではなく、実際の景色を左右反転した上で、道路の配置と(反転後の写真の)右側に並ぶ建物はそのまま描き、左半分は別の景色に書き替えるという、かなり手の込んだ作り込まれ方をしています。

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キービジュアルのモデルとなった松合地区の路地。写真は左右反転しています。キービジュ右側の建物の並びや道路の配置が一致することが分かるかと思います。

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少し立ち位置変えて撮影。今度はキービジュの方を左右反転し、写真は実際の向きそのままで掲載しています。

 ここからは無数に登場する「五丁町」の景色っぽい松合の風景をひたすら掲載していきます。Blu-rayが発売されたら詳細に比較しながらまた撮りに行くつもりですが、それまでは雰囲気でw

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国道のバス停から町の中へ入っていく感じ。実際バス停ありますが、国道沿いのは臨時のようです。

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作中だとこんな感じの所にバス停があるイメージ。

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バス停から町の方向。S字カーブは作中でも再現されてました。(橋が描かれていたような?)

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作中何度も登場したバスのモデルは実際に松合を走る産交バスのもの。作中では大型タイプでしたが実際には中型が走ってるようです。

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松合バス停にある案内版。作中の五丁町バス停にも町の案内がありますが、扇状地に広がる町の形はよく似ています。

 レイ子さんの回想シーンはPVに登場しているので詳細な比較ができるのですが、こちらもキービジュアル同様かなり手を掛けて実際の景色を改変していました。ざっくりいうと、松合に実在する建物をパーツごとに切り貼りしている感じです。

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松合の中心部の通りを撮影。比較画像中央左の枠を付けた建物が、写真でもほぼ同じ位置に来るように撮りましたが、一致するのはその建物だけで周りは違います。

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上の写真とは反対向きに撮った写真がこれ。今度は比較画像中央右の建物が一致します。(実際には右手前の建物も同じ配置で存在しているのですが、写真取る場所間違えました…)

 引き続き松合=五丁町の景色いろいろ。

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「汐見坂」。作中ではニャンコ先生がスイーツの気配を感じて走り去っていったカットw

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逆向きも出てきた気がします。

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土蔵その1

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土蔵その2。左右で窓の高さが違う特徴的な作り。

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土蔵その3。

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土蔵その4。こちらは窓3つ。

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石垣と塀。

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土蔵その5。

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レイ子さんの回想シーンで出てきたとこだったかと。

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松合が今よりも栄えていた頃、廻船問屋として繁盛していた「舩津屋」の建物はいろんなアングルで出てきた気がします。

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これも舩津屋。

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キービジュアルの路地は周辺も何カットか出てきます。

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同上

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同上

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映画ラストでもんもんぼうが自分のコピーを見て驚くシーンもたぶんここ。

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同上

 手分けしてちびニャンコ先生を探していた夏目と田沼が、無事見つけたあと一旦合流するも「祓い屋が来る」と言ってすぐにまた別れたシーンのモデル地も実在します。この辺はわりと実際の風景に忠実な感じ。

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田沼が走ってきた方

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夏目が走ってきた方

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二人が合流した交差点

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祓い屋がいた方角。夏目はこっちに走っていきます。

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祓い屋が出てきた路地

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上の写真の坂道は容莉枝さんの家近くの風景と似てるなとも思いましたが、確証はありません。

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高台に登ってみると容莉枝さんの家近くの景色と似たような構造をしたところがありました。まあ似てるだけでなんとも言い難いのですが…

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ちなみにこの場所からは松合の町が一望できます。海も見渡せて大変良い景色でした!

 現時点で見つけられたのはこれぐらいでしょうか。作中で何度も登場した火の見櫓や園下の消防の建物など、松合に実在していないことが確認されている景色もいくつかありますが、これらはまた別の町に実在しているかもしれません。見つけられた方は是非ご一報くださいw

 ちなみにこの松合へは、先ほど写真も掲載したとおり、作中で夏目たちが何度も乗ったのと同じ塗装のバスに乗って行くことが可能です。JR鹿児島本線松橋(まつばせ)駅から徒歩3分ほどの「松橋駅通り」バス停から「三角(みすみ)産交」行きのバスで20分弱です。1時間~2時間に1本と本数は決して多くないですが、街中を散策していれば1~2時間ぐらいは掛かるのである意味ちょうどいい時間間隔w 車の方が便利なのは間違いないですが、バスに乗って五丁町へ向かう夏目の気分を追体験しながら向かうのもまた良いのではないかと思いますw

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天狗橋、毘沙門堂(人吉市)

 ここからはテレビシリーズでもお馴染みの人吉球磨エリアにある舞台を紹介していきます。人吉市内の球磨川に架かる「天狗橋」は劇場版でももちろん登場しました。冒頭のタイトルが出た少し後、夏目たちの学校からの帰り道のシーンで登場します。

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天狗橋。劇場版での登場アングルは実際は河原に降りて撮ったものです。このカットでは珍しく、橋の奥にある旧橋脚が描かれていました。

 天狗橋から少し市街地方面に行ったところにある「毘沙門堂」もお馴染みですね。3号が失踪した後、夏目と田沼が一緒に探しているシーンで登場しました。

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毘沙門堂。奥の道を夏目と田沼が歩いていました。

 上記シーンの直後、夏目と田沼は西村と北本に出会い3号の目撃情報を得ますが、二人が多軌のことを忘れていることが発覚したシーンは再び天狗橋。橋のたもとで4人が話している感じです。

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天狗橋の袂

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三日原観音(人吉市)

 テレビシリーズではニャンコ先生の大好物のまんじゅう屋「七辻屋」周辺の風景のモデルとなっている三日原観音付近ですが、劇場版では観音堂そのものが描かれました。冒頭で夏目がもんもんぼうに名を返した神社の本堂はここがモデルです。作中ではもっと大きな神社のように描かれていますが、実際は階段の上にお堂がぽつんとあるだけの小さなものです。

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三日原観音堂。作中では右端に彼岸花も描かれていました。

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観音堂のすぐ近くの道から見た田園風景も風景カットで登場しました。

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魚背岩、立岩(あさぎり町)

 冒頭の風景カットで描かれた山と川の美しい風景は、あさぎり町深田西の県道33号線から見た球磨川の景色です。この辺りは多数の岩がゴロゴロと水面上に顔を出しており、それが大きな魚の群れのように見えることから「魚背岩(ぎょはいがん)」と呼ばれているそうです。

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あさぎり町深田の魚背岩

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遠景の稜線まで完全に一致します。

 中盤で中級たちがちびニャンコ先生を探しているシーンで一瞬写る大きな岩も同じ場所。「立岩」と呼ばれる大岩です。

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中級たちがちびニャンコ先生を探していた「立岩」

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宇土市民会館

 笹田が出場した弁論大会の会場は宇土市の中心部にある宇土市民会館がモデルでした。いつものメンバーと一緒に応援に来ていた夏目が、小学校時代の同級生・結城と偶然に再開することになったのもこの場所でした。

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弁論大会会場のモデルとなった宇土市民会館。

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特番で放送された作中カットと比較。建物下部が斜めに切り取られたような特徴的デザインをしています。

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結城が去って行ったのは隣の中学校がある方。

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黒肥地地区(多良木町)

 夏目が結城と出会った小学校時代に住んでいた町のモデルも人吉球磨に実在します。多良木町黒肥地地区がモデルのようです。

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クラスの女の子たちが結城のことを噂していたシーンで登場する商店。

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商店向かいの床屋もちゃんとあります。

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商店街の様子。作中では遠くで緩やかに右に曲がっているように描かれていましたが実際はまっすぐです。

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このカットはここがモデルか自信がないですが、夏目と結城が一緒に下校しているシーンで通っていた橋のモデルはこの辺なんでしょうか。黒肥地地区最寄りの橋とは一つズレますが、県道266号の橋が周りの状況を含めると似ているような気がしています。

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八代駅周辺

 夏目の元から逃げ出してしまったちびニャンコ先生1号が走っていくのを本屋から出てきた多軌が目撃したシーン。ここの街並みは八代駅すぐ西側にある商店街がモデルでした。多軌がいた本屋は実在しませんが、同じ形の建物は存在しています。それ以外の建物はかなり一致度高い感じでした。

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本屋から出てきた多軌がニャンコ先生1号を目撃したシーン。

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作中では「ブルックリン靴店」という名前で描かれていた靴屋。

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多軌に追いかけられた1号が逃げていった、背の低いカーブミラーのついた金網状のものもすぐ近くに実在しました。なんのための網かごなのかよくわかりませんが、作中での再現度はかなり高かったのは確かですw

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球磨川サイクリングロード(あさぎり町)

 引き続きニャンコ先生を追う多軌のシーン。追いかけているところを西村&北本に目撃された橋のところですが、この景色のモデルはあさぎり町須恵の球磨川サイクリングロードです。本屋のある場所とは全然別の場所がモデルですが、作中ではすぐ近くとして描かれています。

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球磨川サイクリングロードに架かる橋。完全一致するのですがどうやらロケハン後に電柱が立ってしまったようで今撮るとこんな感じに…(電柱にH.29(平成29年)の記載がありました)

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電柱がジャマすぎてあまりにもイメージが伝わらないので、パーツごとに紹介。

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奥に見えてる橋。

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これは橋のサイズが違うので多分ここがモデルでは無いと思いますが、同じシーンのこのカットの雰囲気と似てたのでとりあえず撮ってみました。こんな感じの景色は人吉球磨エリア内にわりとたくさんあります…w

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県道15号線・那良口橋(球磨村)

 ちびにゃんこ先生を捜索中、夏目が名取さんと出会ったシーンは球磨村の那良口橋付近。シリーズ中で場所の実名が出ることは珍しいですが、このシーンでは県道15号線の六角形の標識がそのまま描かれていました。橋が二本並んでいるうち赤い方はJR肥薩線の鉄橋。那良口駅から徒歩数分でたどり着けます。過去にも登場した松谷棚田に行く道の途中でもあるので、テレビシリーズの探訪をしたことのある人は実は脇を通り過ぎているはずですw

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 名取さんと別れた後、夏目が歩いていた踏切も橋のすぐ近くにあります。

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 那良口駅に停車する肥薩線の本数がとても少ない(2~3時間に1本)ので、隣の一勝地駅まで歩いてみましたが、途中写真撮るため何度も立ち止まりながらでも45分で着きました。アップダウンがあるわけでもなく、車の通行も少なく、とても歩きやすい道ですし、所々で球磨川の絶景も眺められて飽きることもなく、軽いハイキングみたいなノリで楽しめる道のりでした。

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那良口駅(以下は作中カットではありません)

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那良口駅から一勝地への道のり

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途中はこんな絶景スポットも

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県道304号線・一勝地付近の線路沿い(球磨村)

 ちびニャンコ先生3号が一人歩いているのをもんもんぼうが目撃した線路沿いの道のモデルがこちら。球磨村の中心地・一勝地駅から少し八代方面に歩いたところにある県道305号線が線路と並走する道です。

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作中で描かれたのと同じ車両(キハ40)が通過している瞬間を狙ってみましたw

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作中カットではありませんが、一勝地駅。大畑駅などとも似た作りで、築100年を超えています。

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肥薩線・坂本駅(八代市)

 エピローグで結城と連絡を取った夏目が、再び彼に会って話をしたシーン。これは肥薩線の坂本駅です。作中では「もとさか駅」となっていましたがw

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夏目と結城が話をしていたのは肥薩線坂本駅の2番ホーム。

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反対ホームから話している二人の真正面を映した構図。

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 劇場版サウンドトラックのジャケットやパンフレット最終ページに描かれているのも坂本駅です。ただここに関しては実際の風景を忠実に再現しているわけではなく、実際よりもカーブを緩く描いていたりなど多少アレンジされている様子でした。

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全体のイメージとしては2番ホームから撮るのが一番雰囲気出ますかね。

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線路を真ん中に持ってくるなら1番ホームと2番ホームを結ぶ構内踏切から。※列車の接近には十分注意してください。

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帰っていく結城を見送るシーン。現実の配置に照らし合わせると、2番ホームにいる夏目から見て右向きの八代方面へ走っていく普通列車を描いていることになります。訪問時刻にちょうど作中と同じ車両の八代行がきたのでそこまで再現できましたw

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更新履歴
初回記入:2018.11.10 00:34
宇土市民会館、八代駅周辺、坂本駅の写真を追加:2018.11.10 22:45
天狗橋、毘沙門堂、魚背岩、立岩、黒肥地、サイクリングロードの写真を追加:2018.11.14 01:30
松合の写真を追加し本公開:2018.11.19