ノラガミ ARAGOTO 第10話 舞台探訪(聖地巡礼)@出雲・黄泉比良坂

探訪日:2011/05/02(黄泉比良坂)、2015/03/28、2015/10/25(大泉) ※全て別作品の探訪時についでに撮影した写真のため放送日(2015/12/04)より前の日付になっています。

 「ノラガミ ARAGOTO」第10話「斯く在りし望み」では、姿を消して久しい夜トが黄泉(よみ)に居るとわかり、ひよりと雪音が夜トを迎えに黄泉の入口とされる場所へ赴く、というシーンがありました。このシーンは、島根県出雲地方に実在し、実際に黄泉の国への入口と言われている「黄泉比良坂(よもつひらさか)」が舞台となっています。この場所は当サイトで公開している「鉄のラインバレル」舞台探訪で2011年5月に訪れていたのですが、その時撮った写真の中に今回「ノラガミ」作中で登場したアングルに近いモノがいくつかありましたので、折角なので紹介したいと思います。
 併せて、この10話を含む「黄泉編」の下敷きとなっている、古事記に書かれたイザナミの伝承についても簡単に紹介したいと思います。

目次

揖屋駅

 まずはひよりと雪音の二人が降り立った駅から紹介。JR山陰本線の揖屋(いや)駅です。島根の中心地松江駅から2駅のところにあり、実際に「黄泉比良坂」の最寄り駅となっています。ひよりが言っていた通りここから黄泉比良坂までは歩くとちょうど20分ぐらいでした。

01


揖屋駅の駅名標

02


背後に映る列車はたぶんこれ。

03


駅の様子を映したこんなカットも近いの撮ってました。

04


駅前の様子。

ページ上部へ戻る

黄泉比良坂

 こちらが今回の本題、黄泉比良坂。天神様のもとにいる梅雨さんの能力により、夜トと野良、そして恵比寿が黄泉に居るとわかり、迎えに行くことを決めたひよりと雪音。その彼らが「黄泉の入口」と聞いて訪れたのがこの場所です。実際にこの場所は神話に登場する「黄泉比良坂」の比定地とされており、作中でひよりが言っていた通り、現在では観光地として知られています。
 現地の様子を紹介する前にこの黄泉比良坂にまつわる神話について、少し解説しておきたいと思います。そもそも「黄泉比良坂」とは日本神話における「黄泉の国」(彼岸、あるいはあの世)と「葦原中国(あしはらなかつくに)」(此岸、あるいはこの世)を繋ぐ道とされているものです。国造りの神として知られるイザナギとイザナミの伝承にも登場する場所で、「古事記」には次のようなエピソードが記述されています。

──最愛の妻イザナミに先立たれたイザナギは、イザナミに「決して逢いに来ないでください」と言われていたにも関わらず、再び逢いたい一心で黄泉比良坂から『あの世』へと旅立ちます。しかし黄泉の国へたどり着いてみると、美しかったイザナミの体は腐り果て、とても見るに耐えないものとなっていました。驚いたイザナギは『この世』へと逃げ帰ろうとしますが、夫に自分の無惨な姿を見られて嘆くイザナミやその手下たる黄泉の軍勢「黄泉醜女(よもつしこめ)」が追いかけてきます。何とか黄泉比良坂のふもと=『この世』までたどり着いたイザナギは、そこに生えていた桃の実を追っ手に投げつけ、さらに大岩で『あの世』との通り道を塞ぎ、ようやく難を逃れました──

 この神話の記述を読めばお分かりかと思いますが、「ノラガミ」の「黄泉編」はこのエピソードを下敷きにしたものです。黄泉の女王として登場した「イザナミ」が本性を現したら顔の半分が腐り果てていたという姿や、夜トと恵比寿がイザナミから現世へ向かって逃げる、という構図はあまりにもそのままなので言うまでもないですね。他にもイザナミが恵比寿と夜トを捕まえようと使役していたアヤカシは「醜女(しこめ)」と呼ばれていましたし、梅の精である梅雨さんが木々と話して恵比寿と夜トの居場所を突き止めたときも「黄泉比良坂の桃が見た」と言っているなど、端々にこの神話に由来する設定が使われています。その一環として登場したのが、「黄泉の国への入口」である、この島根県松江市東出雲町揖屋の「黄泉比良坂」、というわけです。

 前置きが長くなりましたが現地の紹介に入りたいと思います。今回第10話では、梅雨さんが木々と会話して見た恵比寿が黄泉へと入っていく映像と、雪音が「一線」を使って黄泉への入口を開こうとしていたシーンの2つでこの場所の風景が描かれていました。

05


恵比寿が黄泉へと向かうシーン。史跡としての黄泉比良坂の入口あたりに作中と同じ景色があります。

 先ほどの伝承にあるイザナギが黄泉への通路を塞いだとされる大岩がこれ。この岩の奥が「黄泉の国」へと続いているとされています。作中でもその故事に則り、雪音が「一線!」で開けようとしていた黄泉への入口はこの二つの大岩の間ということになっていました。

06


黄泉比良坂の大岩。二つの岩の間が黄泉への入口とされています。

07


岩の向こう、「黄泉の国」側から。

 なお揖屋駅から黄泉比良坂に至る途中にはイザナミを祀った「揖屋神社」という神社もあります。神話の国・出雲というだけあって他にもゆかりの地が多数存在するこのエリア。日本神話や神道に由来することが多い「ノラガミ」の登場人物やエピソードにゆかりのあるスポットも多数有るので、元ネタを調べながらこの辺り一帯を旅行してみると意外と楽しいのかも知れません。

08


イザナミを祀る揖屋神社。

ページ上部へ戻る

おまけ:大泉学園駅前

 最後に、同じ10話に登場した実在の場所、と言うことで、東京の大泉学園駅前も紹介したいと思います。他の話数でも何度か登場している場所ではありますが、これも同じアングルの写真が手元にあったのでww
 10話の最初、夜トと雪音のことを忘れかけていたひよりが久し振りに雪音と再会して全てを思い出した場所です。

09


大泉学園駅歩道橋から見たカット。撮影位置は違いますが大泉学園駅を走る東京メトロ7000系。1期の頃は散々出てきた光景ですw

10


大泉学園駅前の歩道橋

11


全てを思い出したひより

ページ上部へ戻る

 以上、ノラガミARAGOTO第10話舞台探訪記事でした。長いこと舞台探訪やってると手持ちの写真だけでこんなに合うこともあるんですねww

参考文献:
・黄泉比良坂に設置されている案内看板と配布されていたチラシ
神話博しまね イザナキとイザナミ
Wikipedia: 黄泉比良坂
Wikipedia: イザナミ
Wikipedia: 黄泉

更新履歴
初回記入:2015.12.05