残響のテロル 舞台探訪(聖地巡礼)

探訪日:2014/06/29(1-2話先行上映イベント翌日)、2014/07/12(1話放送後)、2014/07/27(3話:白髭神社、国会前庭)、2014/08/09(5話:丸ノ内線)、2014/08/13(3話:尾道)、2014/09/15(6-8話:羽田、神保町、葛西臨海公園)、2014/09/28(府中基地周辺、小金井市)

 2014年7月クールのノイタミナ作品「残響のテロル」
 作品公式サイトのアドレスがhttp://terror-in-tokyo.com/である事からも分かるとおり、ある日東京の真ん中で連続爆破テロが起こる、というところから始まる物語です。監督がインタビューで語るところによると「世界のあちこちでテロが起きているけれど、それがもし日本で起こったら自分たちはどう対処するか。」、それが話の軸の一つとなっている様子。そのifをより強く印象づけるためか、実在する東京の風景がリアルに再現された映像に仕上げられています。東京やその近郊で生まれ育った人にはもちろんのこと、それ以外の土地の人にもイメージしやすいような、東京を象徴する景色。それがテロの標的とされ壊されていく様は、物語により一層のリアリティを与えているように思いました。
 本ページでは、そんな「残響のテロル」で登場した東京都内に実在する景色を紹介したいと思います。

登場地点リスト
1-2話阿佐ヶ谷周辺警視庁東京都庁・新宿副都心周辺新宿中央公園府中基地跡(「アテネ計画」施設のモデル)六本木
3-5話白髭神社(葛飾区)国会前庭尾道丸ノ内線
6-11話羽田空港国際線ターミナルゲームコーナー ミッキー葛西臨海公園 観覧車ラストシーンの橋

阿佐ヶ谷周辺

 1話Aパート前半はまだまだ平穏な日常の光景。しかし主人公二人のテロ活動はこの時点から始まっています。東京の高校に転校生として潜り込むナインとツエルブ。二人が通うことになる学校は遠くに新宿のビル群を臨む東京の郊外に位置しています。街路樹の並木道にバスや自家用車で混雑する幹線道路、というどこでもありそうな風景ですが、この景色のモデルはどうやら杉並区阿佐谷周辺のようです。通りを行くバスの行き先が「阿佐ヶ谷駅」「中村橋」だったのが決め手。実際にJR阿佐ヶ谷駅と西武中村橋駅を結ぶ路線が存在しており、それをモデルにしたものと思われます。鬱蒼と茂る街路樹に覆われた通りは阿佐ヶ谷を南北に結ぶ中杉通り。ツエルブとナインが渡っていたのによく似た歩道橋も確かに実在しました。
 二人の通った高校もモデルが実在することを確認しましたが位置関係は変えられており、作中のように中杉通りの歩道橋脇にはありません。まあ今時歩道橋からプールが見下ろせる高校というのもないでしょうけどw
 ちなみに本作を製作する「MAPPA」のスタジオは中杉通りの南端、丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅近くにあります。今回この景色が登場したのはスタジオの近くだからという理由でしょうかね。阿佐ヶ谷周辺には他にもA-1 Picturesやサテライトなど多くのアニメ制作会社が立地しており、現代の東京を舞台とした、または背景モデルにしたアニメにおいてこの辺りの景色はよく登場します。

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阿佐谷北一丁目の中杉通りに架かる歩道橋。おそらくこれがモデル。ここ1年以内に街路樹が剪定されたようですっきりしちゃってますが、以前別のアニメの探訪で通ったときは本作中のように鬱蒼と茂っていました。Googleストリートビュー(2013年撮影)ではその様子が見て取れます。

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歩道橋からの景色。

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ツエルブお気に入りのマスコット「くるりん」のモデルは都営バスのマスコット「みんくる」。中杉通りのこの位置を通るバスは関東バスの運行なのでこいつの姿は見られませんwこれは阿佐ヶ谷駅の南側で撮影した物。

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歩道橋の階段部分。

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信号のモデルはこれかな?神明宮入口の信号を撮ってみました。

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警視庁

 テロリストの主人公二人を追うことになる刑事・柴崎が勤める警視庁本部庁舎。こちらは有名どころですね。皇居の南、桜田門の向いに位置しています。

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皇居のお濠沿いから見た警視庁

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東京都庁・新宿副都心周辺

 「東京は午後3時過ぎから闇に包まれ、新宿方面ではところによりで~っかい火花が上がるでしょう~…」
 そんな意味深な投稿動画を「犯行予告」にし、ナインとツエルブによるテロの火蓋が切られます。
 彼らのテロの標的となったのは東京の中枢・都庁舎。新宿副都心の中心部に聳え立つ高さ243mの超高層ビルは東京を象徴する景色の一つとして誰もが見知ったものではないでしょうか。そんな建物が爆弾によって破壊され、倒壊する。2001年9月11日にアメリカで起こった同時多発テロ事件による世界貿易センタービルの倒壊シーンを思わせる映像は衝撃的であるとともに、なにやらとんでもない物語が始まったという印象を見る側に強く植え付けるにはぴったりの舞台だと思います。

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真下から見上げる都庁舎

 事件直前にナインとツエルブの二人が居たのは二つある展望室のうちの「北展望室」の方。地上およそ200m高さから東京の街を一望できます。の作中でも描写がありましたが、エレベーター前で手荷物検査があります。それをかいくぐって彼らはどうやって爆弾を持ち込んだのか…そこら辺も今後の展開で暴かれていくのでしょうか。
 展望室は入場無料。開放時間については都庁ホームページへ。

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都庁北展望台の様子

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展望台の窓際に佇むナイン

 午後3時過ぎ、臨海部でクレーン船が高圧電線を引きちぎり都内一帯が停電、ネットの投稿動画の通り闇に包まれます。このシチュエーションもまたとことんリアルで、2006年8月14日にはクレーン船が高圧線を切断して東京23区を中心とする大規模な停電を引き起こすという事故が実際に起こっています。(Wikipedia:首都圏大規模停電
 ここから数カットは、停電により闇に包まれた新宿周辺の景色が何カットか登場します。

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都庁2階。展望台から降りてきたフロアです。

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都庁の前の信号機

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新宿東口・ヤマダ電機前

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JR新宿駅西口改札

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大ガード西側

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東口スタジオアルタ近く

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丸ノ内線新宿駅

 停電により都庁などに居た民間人が避難誘導されているシーン。都庁の裏にある新宿中央公園の大階段です。

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新宿中央公園の階段

 そして停電発生からしばらくして、ナインとツエルブが仕掛けた爆弾が炸裂。都庁上部北側より煙が上がります。

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少し離れた西新宿四丁目交差点から見た都庁の様子

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あちこちから集結する消防車。新宿中央公園の間の通りに架かる公園大橋から見た構図。

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都庁が崩壊していく様を見届けるナインとツエルブが居たのは新宿中央公園の裏手にあるオフィスビルの屋上。都庁展望室からも見下ろせます。

 ツエルブに爆弾を預けられた三島リサを崩れる都庁の中から助け出すという選択をしたナイン。その意を受けてツエルブは都庁に向けてバイクを走らせます。以下3枚はその道のり。

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先ほどのオフィスビル脇の路地から飛び出してまずは北へ。

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新宿中央公園北西端、熊野神社前の交差点を右折。

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ぐるっと回り込んで都庁北の交差点から都庁の前へ。

 ツエルブがたどり着くのとほぼ時を同じくして、ナインの指示に従ってリサが仕掛けた爆弾により、都庁と道を挟んで向かい側にある都議会議事堂を結ぶ通路に大きな穴が開けられます。リサはここから飛び降りて、真下にやってきたツエルブに助けられます。

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リサの置いた爆弾で大穴が開く連絡通路

 リサが助けられた後、爆弾の炎は勢いを増し、ついに都庁の北側部分が倒壊してしまいます。

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新宿中央公園から見た構図

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議事堂前の広場北側。倒壊した部分のほぼ真下に当たります。

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都庁南交差点から見た構図

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新宿中央公園

 都庁の真裏にある新宿中央公園。1話のラスト、ツエルブに助けられたリサとナインが冒頭のプールのシーン以来再び相見えたシーンはこの公園の西側にある階段です。リサの心象を反映してか、作中だとナインにかなり上から見下ろされてるような印象を受ける構図で描かれていますが、実際はそんなに高さのある階段ではありません。

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階段中程に佇むナイン

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ナインと同じ位置から都庁にカメラを向けてみましたが、実際には木が生い茂りすぎていてほとんど見えませんでした。

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ナインと合流するツエルブとリサ。

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「お前は共犯者を選んだ。それが、お前自身の選択だ。――もう、戻れないよ。」

※!注意!※ ニュースでも報道されているのでご存じの方も多いかと思いますが、2014年9月現在、新宿中央公園内に伝染病「デング熱」のウイルスを持った蚊が生息している恐れがあります。駆除作業は行われているようですが、不要不急の訪問は避けた方が良いと思われます。最新の状況は新宿中央公園のホームページでご確認ください。

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府中基地跡(「アテネ計画」施設のモデル)

 ナイン、ツエルブ、ハイヴを始めとする「アテネ計画」の子ども達が育った施設。巨大なパラボラアンテナを備えた無機質な建物という、いかにも隔離された何らかの施設、って感じの風景が、1話から何度か挿まる回想シーンで何度か登場していました。ストーリー上重要な意味を持つこの場所は、最終話のラストでも登場し、全てのテロルを終えたナイン、ツエルブとリサが、破棄されて時間が経ち廃墟となった施設跡で最期に束の間の穏やかな時間を過ごす、という重要なシーンの舞台にもなりました。
 この建物、さすがにモデル地はないだろうと勝手に思い込んで特に調べもしていなかったのですが、最終話放送後にTwitterでモデルが実在するという情報を入手。調べてみたら同じようなパラボラアンテナがある施設の廃墟が東京に実在することが分かりましたので、早速行ってきました。

 この施設のモデルとなったのは、東京都府中市にある米軍府中基地の跡地です。大元は第二次大戦時に旧大日本帝國陸軍の施設として開設されたものですが、戦後米軍に接収され、以後通信施設や住宅として使われていたものだそうです。1975年と1986年の2回にわけて広大な敷地の敷地の大部分が日本に返還され、その一部は航空自衛隊府中基地や府中の森公園、美術館、生涯学習センターなど市の施設へと再開発されました。しかし、残りの部分は処分保留とされ、現在に至るまで建物ごと完全に放置された状態が続いています。かなり長い期間にわたり放置されているため、建物には信じがたい勢いで蔦が生い茂り、通信施設の巨大なアンテナにもサビが浮いているという、まさしく廃墟と言うに相応しい景色が広がっています。基地跡の周囲は現在は住宅街となっており、住宅街の路地や公園脇の並木道から、わずかフェンス一枚挟んだだけの至近距離に廃墟の建物群が存在している、というなかなか異様な景観を作り出しています。余計な装飾が一切無い軍事施設の建物が廃墟になっている様を見たら、この中で本当に「アテネ計画」のような陰謀めいた計画行われていたとしても不思議でないような気分になりました。

 この廃墟、当然敷地内に入ることはできませんが、本当に住宅街に隣接した位置に存在しているため、周囲の道路からでも中の様子を窺うことができます。特にこの跡地のシンボル的存在である2基の巨大なパラボラアンテナや鉄塔は、周りの住宅街からでも民家の屋根の上に見え隠れするほど。作中の、特に廃墟となった最終話雰囲気は十分感じることができるかと思います。

※!注意!※この施設は現在国の管理下におかれており、許可無く敷地内に立ち入ることはできません。不法侵入は犯罪であり、法律によって罰せられます。ネット上では廃墟探索と称し、内部の写真を撮影・公開しているブログ等がいくつか存在していますが、おそらくその多くが不法侵入による撮影であると思われます。絶対に真似しないでください。
 また敷地外から見るのについても、住宅街の路地裏からとなります。公道と私有地の境界が曖昧なところが多いですのでご注意ください。建物跡に最も近づけるスポットとして紹介されることの多い都営団地の駐車場についても、現地へ行くと「居住者以外の進入はお断りします」と明記されていましたので、進入は控えた方がよいと思われます。訪問の際は周辺住民へ十分配慮した行動を取っていただけるようお願いします。

 まずは一番目立つパラボラアンテナから紹介。最終話で出てきたこのカットは木々の生い茂り具合もとてもよく似た景色になっていました。

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パラボラアンテナ。敷地北側のフェンス越しに望遠で撮影。

 フェンス越しに見る建物跡とアンテナ。作中の建物と全く同じデザインの建物は、公道から見える範囲では見つかりませんでした。全体的に作中で描かれているほど朽ちていない印象です。ただその代わり、夏が終わった直後なせいで建物全体に信じがたい勢いで蔦が生い茂っていて、まるで緑の山のようになっていました…

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蔦に覆われた建物廃墟が住宅街のすぐそばにあります。

 作中映像と直接比較するわけではありませんが、他の建物跡もご紹介。敷地南端、府中の森公園に面する側は、整備された歩道もある並木道に廃墟が面しているという不思議な景色になっています。住宅街ではないのでここならある程度気兼ねなく廃墟の様子を見ることができますが、そんな場所にありながらも結構見事に朽ちていて「廃墟萌え」的観点から見るとなかなかいい感じですw ただやはりここもこの時期(※2014年9月末訪問)は木や草が猛烈に生い茂っていて建物が覆い隠されてしまっています。冬場になれば多くが枯れて、少しは見やすくなるのかもしれません。

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2階建ての結構大きな建物。

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府中の森公園臨時駐車場越しにも大きな建物跡が見えます。

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ガラスも割れいかにも廃墟な面持ち。

 敷地内に高く聳え立つ鉄塔も作中にきちんと描かれていました。Wikipediaの記事によると、107mあるこの塔のみ、現在も米軍の通信施設として稼働しているとのことです。

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フェンスの雰囲気を再現。平和の森公園と基地跡の境にあるフェンスで撮りました。

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六本木

 2話で新たなテロの標的となった六本木警察署。作中ではオイディプスのなぞなぞにかけて「港区六本木2-4-3」に所在するということになっていましたが、実際の住所は港区六本木6-2-37であり、また名称も六本木警察署ではなく麻布警察署です。

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麻布警察署前の六本木通りの様子。

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白髭神社(葛飾区)

 ここからは第3話で登場した場所。「なぞなぞ解いた神様の、住まいの隣にあるビルな~に?」というスピンクスの謎かけの答えとして柴崎が導き出したが葛飾区の白髭神社。問題の「隣にあるビル」は実在していませんでしたが、神社そのものは作中で描かれたとおりの姿で実在しています。この神社がある辺りの旧地名から「渋江白髭神社」とも呼ばれています。地域に根ざした小さな神社といった構えですが、歴史は古く、創建年代は不詳ながら室町時代頃から記録に見いだされています。江戸時代には渋江村の住人だけでなく吉原の遊郭などから篤く信仰され、参詣者が絶えなかったなど、由緒のある神社のようです。
 なお四ツ木駅の近くにはもう一つ「四ツ木白髭神社」という神社もありますが、そちらではありませんのでご注意下さい。場所はこちら。京成押上線四ツ木駅が最寄りです。

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白髭神社鳥居

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神社脇

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神社の向かいにある公園の脇から

 さてこの白髭神社、実際に現地へ行ってみると、作中で謎かけを解く鍵となった「アラハバキ」という神様についての直接的な記述は見つけることができません。では白髭神社にアラハバキが祀られているというのは創作なのか?…と言うとそうでもないようです。この白髭神社、明治以前までは「客人大権現(まろうどだいごんげん)」として知られていたのですが、そこに祀られる「客人神(まろうどがみ)」という神とアラハバキを関連づける考え方というのがあるようです。「客人神」とはもともとその字の示す通り、地元で信仰されていた神様のもとに外からやってきた「お客さん」の神様という意味があるようですが、作中で取り上げられていた宮城県の多賀城市にあるアラハバキ神社では「おきゃくさん」の名で崇拝されているだとか、埼玉県さいたま市大宮区の氷川神社ではアラハバキが客人神として祀られているなどの事例から、各地で見られる客人神の信仰とアラハバキが結びつけられているようです。作中の柴崎のセリフで解釈するなら、居場所を失ったアラハバキ神が足を引きずって各地を彷徨い、客人として祀られるようになったうちの一つがこの客人大権現、すなわち現在の白髭神社である、といったところでしょうかね。
 神社の片隅には白髭神社と改称する以前からあったと思われる「客人大権現」の石碑が置かれていますので探訪の際はそちらもチェックしてみて下さい。

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境内にある「客人大権現」の碑。おそらくこれが「アラハバキ」との関係を示す唯一のもの。

※参考資料
mixiコミュニティ:渋江白髭神社
遊歩酔々 渋江白髭神社
猫のあしあと 白髭神社
Wikipedia – アラハバキ
謎の神 アラハバキ
アラハバキ(土着の神)と客人神(まろうどがみ)=融合支配の一例

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国会前庭

 3話で警視庁の倉橋が柴崎にスピンクス事件の捜査に関わろうとした理由を聞いていたシーンの舞台となったのは、警視庁本部庁舎からもほど近い国会前庭です。文字通り国会議事堂の前にある庭園で、議事堂の正門から伸びる通りを境に南北に分かれているうちの北地区が今回登場した側です。洋風庭園と三権分立を表すという黒い時計塔がシンボルです。

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国会前庭北地区の庭園。作中画像中央奥に描かれているのが警視庁本庁舎。実際に同じ方向に有りはしますが、同じアングルで撮ると木の陰になってしまいます。

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ベンチを後ろから。右端に見えるのが時計塔。

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国会前庭から見える警視庁本庁舎。

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尾道

 国会前庭での倉橋と柴崎の会話の中で、少年時代の柴崎の回想として数カット登場した風景がありましたが、これは広島県尾道市のものでした。海と山が接するところに位置するため、町の至る所に海を見下ろす階段や路地があり、独特の景観を作り上げています。そのため観光名所として知られているほか、アニメなら「かみちゅ!」、実写なら大林宣彦監督の映画など数多くの映像作品で舞台として描かれています。本作で登場したのもそういった作品で頻出の「有名どころ」な場所でした。
 一枚目のこちらは千光寺新道。中程にある階段から海を見下ろした構図です。この階段の一番上からの構図は過去に観光ポスターにも使われたこともある場所で、人気の観光スポットの一つとなっています。

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千光寺新道の階段

 二枚目のこちらは「空猫カフェ」という古民家を改造したカフェに通じる階段。細い路地を延々奥まで行った先にある場所で、今回紹介する中では最も「知る人ぞ知る」という感じのスポットです。カフェ自体は営業日が非常に限られており、なかなか行くことができないんだとか。管理人が訪問したときも夏期休業中でした。

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空猫カフェの下の階段。

 三枚目はまた有名どころ。持光寺の階段をアーケード商店街の路地越しに見た構図です。路地を抜けた先に踏切が有り、そのすぐ後ろから階段が続いているという、いかにも尾道らしい景色の一つです。

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路地越しに望む持光寺の階段。

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丸ノ内線

 第5話で「ブドウの木を植えた天使様、FEZ5889の罰に処す。執行された場所はどーこだ?」のなぞなぞとともにスピンクスの二人が爆弾を設置した「首都新宿線」。そのモデルとなったのは東京メトロ丸ノ内線です。エデンの園にブドウの木を植え、神の怒りを買った天使サマエル。その天使が持つ赤い蛇の異名を、東京都心を蛇のように曲がりくねって走る赤い電車=丸ノ内線(作中の首都新宿線)になぞらえたのが今回のなぞなぞでした。
 ナインとツエルブが消火器の交換に偽装して爆弾を設置したシーンで登場したのは荻窪駅、それが爆発して大惨事となったのは中野坂上駅となっています。

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荻窪駅2番ホームにある発車案内。

 ナインとツエルブが爆弾を設置した車両も実際に丸ノ内線を走っている「02系電車」がモデルになっています。形式名も作中でそのまま使われていましたね。外観は赤い帯の部分のデザインが少し変えられていますがその他は完全に同じ。内装もかなり実物に忠実に描かれています。

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丸ノ内線を走る02系車両。

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車内の様子。各車両連結部の近くに消火器が置かれている様子が忠実に描かれています。

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消火器付近の座席は優先席ですが、作中でもちゃんとそれを示すシールが描かれています。

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消火器設置場所周りの様子も忠実に再現。

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車両中程の座席の様子。

 「02系」という形式名がそのまま使われているこの電車ですが、作中で爆弾が設置された車両の番号「02-918」を持つ車両は実在しません。「02-」の後に続く3桁の数字のうち、百の位は号車番号を表しているので、6両編成の丸ノ内線には9で始まる車両は存在し得ないためという理由です。ちなみに下二桁が「18」の編成は実在するので、「02-618」が最も近い番号になるかと思います。

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02系の形式表示。書体はとてもよく再現されています。

 ツエルブが爆弾を解除するため設置した車両がやって来るのを待っていた駅は、話の流れ上は爆発した駅とは違うことになっています。しかし背景として描かれていた景色は、爆発現場のモデルとなった中野坂上駅にありました。まあ、ホームの端付近はどの駅も似たような構造をしているので、ロケハンの都合上使い回したというところでしょうかね。

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中野坂上駅3番ホーム荻窪寄りの端。

 爆弾を乗せた車両の位置を特定したナインが自らの手で解除するために向かった駅は中野坂上駅がモデルです。特に言及はされていませんが作中では「南中野」という名前であるという設定になっているようです。
 この駅は荻窪方面ゆきの1番線と新宿・池袋方面ゆきの3番ホームの間に、当駅始発の方南町方面の支線が発着する2番線が存在しているのが特徴です。3本の線路に2つのホームが挟まれているという構造は作中でもきちんと描かれていました。

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中野坂上駅1番出口の階段とエスカレーター

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中野坂上駅に入線する列車

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新宿・池袋方面ゆきホーム(3番線)へ通じる階段。

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3番線の様子。

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発煙筒に着火しようとするナインのカット。後ろに2番線と線路を挟んだ向こう側にある1番線が見えています。

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3番線から改札へ通じる階段。

 この駅のシーンは基本的には実在の3番ホームの景色をモデルにしていますが、所々異なる場合も有りました。たとえばこのカットは3番線の反対側、2番線の景色を左右反転したものでした。

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2番線の写真を左右反転したカット。黄色の出口案内と赤い矢印の張り紙がこの位置関係で並ぶのはここだけでした。

 消火栓が写っているこのカットも2番線側。こちらは反転無しで使われています。写真の方では左隅(3番線)に列車が止まっていて見えませんが、その後ろは壁があるだけで何もありません。しかし作品内ではこの消火栓が3番線を向いているという設定で描かれているため、辻褄を合わせるべく左奥には本来の3番線から見える2番線と、線路を挟んでさらに奥にある1番線のホームがきちんと書き込まれています。

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2番線側にある消火栓。写真の角度では右側に存在している1番線ホームを、作中では3番線の景色に見せるためきちんと左奥に合成して背景画が作られています。

 ナインの奮闘虚しく爆弾が炸裂してしまったシーン。反対側の1番線から2番線のホームドア2枚を挟んで爆発現場の3番線を見るというこの構図から中野坂上駅独特の構造が理解できるかと思います。

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ホームドア越しに見た反対ホーム。写真は3番線から1番線を見た構図で代用しています。

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柱の駅名標が作中では「南中野」になっているのがこのカットでわかります。

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羽田空港国際線ターミナル

 6-7話でハイヴとスピンクス、柴崎ら刑事達に米国政府関係者、四者の思惑が入り乱れた駆け引きの舞台となった羽田空港国際線ターミナル。ハイヴの仕掛けてきた、建物全体をチェス盤に見立てたゲームを解くためナインとツエルブは縦横無尽に走り回ります。一連のシーンでターミナル内の場所が多数登場していますが、作中では一般エリアだけでなく、出国後エリアや関係者通路まで含めて登場していました。「答え」の場所106番ゲートも実在しますが、搭乗口なので当然出国後エリアですね。そういった場所は実際に羽田から出発する飛行機に搭乗する時でないと訪れることはできません。なのでこの記事では誰でも自由に出入りできる出国前エリアのみの紹介となります。

 まずは一番わかりやすい構図からと言うことで7話で柴崎達がターミナルに到着した直後のカットから紹介。3階の出発フロアを右から左に見渡した画です。このフロアは飲食店エリアの4階とあわせた吹き抜けになっておりかなり広々とした印象です。実際にここを足で回って特定の人物を追い詰めるとなるとなかなか骨が折れる捜査になりそうですw
 ロケハンからそれほど時間が経っていないのか、天井から吊されている巨大広告も作中で描かれているのと同じものが一部残っていたりして、忠実に書き込まれているのが見て取れました。

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 以下細かなカットをいくつか。3階の出発フロアーと2階の到着フロアもかなり入り乱れて登場しています。
 ハイヴの指示で空港警備員が配備に付こうとしているこのカットは出発フロアへ通じるエスカレーターを上がったところ。

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出発フロアエスカレーター

 次に出てくるカットは2階の到着フロア。

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到着フロア吹き抜け下

 そんな空港の様子を見ているリサが居たのも2階、モノレール改札口付近。実際にはリサが居る辺りにベンチがあります。

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到着フロアモノレール改札口付近

 空港に設置されている監視カメラをクローズアップしたこのカット、完全に一致ではありませんが似た構造の天井があったので一応紹介。5階の化粧室から展望デッキへ通じる通路が換気口の配置や照明の形がとてもよく似ていました。。

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5階トイレと展望デッキ出入り口を繋ぐ通路の天井。天井点検口と換気口、照明の並びは一致?

 こちらは7話で空港に到着した柴崎達のカット。始めに紹介したカットのすぐ近くです。

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 ハイヴの操作でスピンクス達へのメッセージとしてチェスの一手が掲示板に表示されているシーン。背後まで完全に同じになる構図は見つけられませんでしたがだいたいこんな感じですかね。出発フロア内にはここで描かれているような2段構成の液晶ディスプレイがそこかしこに設置されていました。

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 出発カウンターの様子。

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出発カウンター上に並ぶモニタ

 出発フロアの天井を写したカット。曲線を中心としたデザインの天井とその隙間から外光が漏れてくるという特徴的な構造をしています。

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出発フロアの天井。デザインが独特。

 出発フロアの時計。18:32をきちんと合わせてみましたw

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 ツエルブが監視カメラの死角を突いて移動しているシーン。エスカレーターの陰とかいかにもありそうな場所ではあったのですが、意外とそれっぽい場所が見つけられませんでした。ただここに描かれている「COOLBIZ×HANEDA」のポスターは全く同じものを空港内で見ることができました。

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 上のカットのすぐ次も同じ景色を見つけられず。タクシー乗り場が「↓」と案内される看板はここしか見つけられなかったので一応撮ってみました。

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2階到着フロアからタクシー乗り場へ通じるエスカレータ付近。

 エスカレーター陰にいるツエルブを警備員が発見したカット。上の出発フロアまで吹き抜けになっている場所は1ヶ所しかないのでここがモデルに描かれた背景であると思われますが、見ての通り作中では直線的な作りですが実際には曲線的なデザインをしています。このように忠実ではなくかなりアレンジを加えて作画しているカットも結構多いようでした。

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2階の吹き抜け部分。一つだけ三角形の出っ張りがある点は一致。

 こちらはナインが走り回っているシーンで出てきたカット。出発フロアのD・Eカウンター前。

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 出発フロアの公衆電話。

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 ナインが電話を取るカット。ここでナインの後ろにB・Cカウンターが見えていますが、現実の公衆電話の位置からは見えませんでした。ただカウンターの様子はエア・カナダのロゴや「STAR ALLIANCE」の文字など完全にそのまま描かれています。

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 空港内の所々にある「職員専用」の掲示。

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 いよいよ”スピンクス3号”としての指示をリサが受けるシーン、ここでリサが居るのは5階の展望デッキです。デッキの北側にはビルに「Tokyo International Airport」の文字が記されています。

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 リサが発煙筒でボヤ騒ぎを起こしていたトイレ。

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 一方こちらは柴崎達のシーンで登場したカット。国際線ターミナルの駐車場入口です。同じアングルで撮れる場所まで徒歩で接近できるか不明ですが、国際線ターミナルと国内線第1・第2ターミナルを結ぶ無料シャトルバスの車内から比較的近い構図で撮影出来ました。

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 長い駆け引きの後、ついに「チェックメイトだ」とハイヴの意図にナインが気づいたシーン。これは4階ショップエリア「江戸小路」中央にある「江戸舞台」の前でした。

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 ハイヴが監視カメラの映像が5分前のものに切り替えられていたことに気づいたきっかけとなった時計。先ほど掲載したのと同じ時計ですが、ちゃんと19:02で合わせてみましたw

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 リサがハイヴの部下に発見されてしまったコインロッカー。全く同じ場所かは分かりませんが、一応リサが開けている「127」の番号は一致した場所で撮っています。

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 爆弾を乗せた飛行機を遠隔操縦するために7話後半でハイヴが居た管制塔。国際線ターミナルの展望デッキから正面に見ることができます。

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 7話ラストシーンでハイヴの仕掛けた爆弾が炸裂し飛行機が炎上しているシーン。同じカットは再現できなそうでしたが、夜の展望デッキから見た滑走路の様子で雰囲気は伝わるかな?奥に見えている国内線第1ターミナルとの間にA滑走路が通っていて、作中で106番ゲートに向かっていた飛行機はそっちに逸らされ炎上した感じ。4本ある滑走路の一つがこんなことになってしまうとかなりの影響が出そうです。

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ゲームコーナー ミッキー

 8話でスピンクスの二人が新たなアジトとして使っていたゲームセンターの廃墟もちゃんと実在する場所がモデルになっています。モデルになったのはかつて神保町にあった「ゲームコーナー ミッキー」。神保町駅から徒歩1分という立地に有りながらなんだか別世界のような空気を漂わせるこの建物、一目見て古いと分かる外観ですが、オープンは1982年とのこと。以来32年間にわたり営業を続け、この界隈では有名な存在だったようですが、建物の老朽化により2013年3月29日をもって閉店となりました。作中では店内の様子も描かれていましたが、「ゲーム50円」という看板など、内装も実際のものを再現しているようでした。もちろん現在では入ることができませんが、ねとらぼ:老舗ゲーセン「ミッキー」32年の歴史に幕 開店以来貫いた「1プレイ50円」のココロなどの記事で写真を見ることができます。
 2014年9月の放送時点で既に閉店から1年半が経過していますが、建物はまだ存在しています。外の看板とかもそのまま取り外されることなく残っているので、外観は作中に出てきたほぼそのままの景色を見ることができます。ただ、閉店の理由が建物の老朽化だったとのことなので、取り壊しもそう遠くないのかもしれません。訪問はお早めに。

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ゲームコーナーミッキー外観

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葛西臨海公園 観覧車

 8話ラスト、ハイヴに捕まり爆弾を付けられてしまったリサを助けるためにツエルブがナインを裏切ることになった…という物語が大きな転機を迎えたシーンの舞台となった大観覧車。これは葛西臨海公園にある「ダイヤと花の大観覧車」です。高さ117mと日本最大のサイズを誇り、東京湾岸の景色を一望することができます。作中でハイヴがリサに仕掛けた爆弾のタイマーは「08:30」からカウントダウンが始まりましたが、この時間の意味は実際のこの観覧車について調べてみたら分かりました。この観覧車が1周するのにかかる時間は、約17分。ということはのりばから動き出したゴンドラが最高地点にたどり着くのはその半分、8分30秒後ということになります。爆弾のタイマーはこの時間に合わせて設定されたわけですね。実際、わずか2秒を残してツエルブが爆弾の在処をハイヴに教えたシーンでは、リサとツエルブを乗せたゴンドラがほぼ最高地点に到達した状態で描かれています。ただ作品を見ているだけではわからない、実在の舞台モデルと照らし合わせることで初めて理解できる製作スタッフのこだわりにこうして気づくことができるのも舞台探訪の大きな魅力の一つと思います。実際に乗ってみて、「8分30秒」を体感するとより一層作品の世界も感じることができるようになるのではないでしょうか。

 と言いつつ今回は実際に乗っていないので、外観だけの紹介ですw
 まずはツエルブが観覧車に到着したカット。ちゃんと所定の駐車場にバイクを置いていますw 観覧車は緑色にライトアップされていますが、どうもこれは営業終了後モードのようです。話の状況的に通常営業は終わっていますので、その辺も含めて実に忠実に描写されているようです。

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駐車場から見た観覧車

 ツエルブを尾行するハイヴの部下。

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 近くから見た観覧車。かなりの高さがあるので結構圧倒される感じです。

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このカットの照明もまだ営業終了後モード。

 乗り場へと続く階段。

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営業終了後は作中と違って照明がなく若干不気味。

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ゴンドラ

 ツエルブがリサの居るゴンドラに乗り込むと爆弾のタイマーと同時に観覧車も起動。ライトアップも華やかなものに切り替わります。実際の営業時モード照明もこの通り、若干色味の違いはありますがほぼそのままです。

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公園内にある池越しに見ると水面に観覧車が映り込みます。

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ラストシーンの橋

 最終話の最終シーン、スピンクス事件から一年後、リサが例の施設に「墓参り」に行った帰り、同じく墓参りに向かう柴崎刑事と鉢合わせた橋にもちゃんとモデル地が実在しました。施設のモデルとなった府中基地にほど近い、小金井市内の野川に架かる「大城橋(だいじょうばし)」がそれ。住宅街の中を流れる小川に架かる橋、という東京の山の手地区では比較的ありふれた景色ではありますが、やはり登場したシーンがシーンだけに、強く印象に残っている方も多いのではないでしょうか。基地跡の廃墟までは徒歩20~30分、最寄りの駅・JR武蔵小金井駅からは15分ぐらいの距離。真夏の「墓参り」は結構しんどそうです。

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更新履歴
初回記入:2014.07.15
3~5話分追加:2014.08.20
6~8話分追加:2014.09.20
最終話、施設モデル地追加:2014.09.29
サイドバー設置、掲載順変更、コメント一部改稿:2015.02.25