舞台探訪特別編 ~アニメに描かれた桜~

探訪日:各写真ごとに記載

 日本の春を彩る桜。この花は多くの地域で3月末から4月初旬の、卒業、入学、入社、異動など、人生において重要なイベントが重なる季節に咲くため、人との出会いや別れであったり、新たな一歩を踏み出す瞬間などを象徴する存在として、多くの人が特別な思いを重ねる花でもあります。
 そのような花ですので、日本で作られたアニメには、桜が描かれたシーンが数え切れないほど存在します。そしてそれらは往々にして、物語の始まりや結末など特に重要な局面で、大変印象的に描かれています。そこで本記事では、アニメに描かれた桜のうち、モデルとなった桜が現実世界に実在しているものを、複数作品から選り抜いて紹介したいと思います。過去数年間撮りためてきた、開花状況や天候をできる限り合わせて撮影した写真を使い、いろいろなアニメの印象的な桜のシーンを再現していきたいと思います。

掲載地点一覧
「四月は君の嘘」~大泉学園、練馬、石神井など練馬区各所
「月がきれい」~川越・氷川橋、田谷堰など
「放浪息子」~世田谷区大蔵団地周辺
「秒速5センチメートル」~渋谷区参宮橋公園周辺
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」~千葉公園
「りゅうおうのおしごと!」~大阪城公園
「響け!ユーフォニアム」~京都市・六地蔵駅、宇治市・あじろぎの道周辺
「中二病でも恋がしたい!」~大津市・穴太駅
「聲の形」~大垣市・美登鯉橋
「氷菓」~高山市・斐太高校、臥龍桜

「四月は君の嘘」~大泉学園、練馬、石神井など練馬区各所

 まずは2014年10月から2015年3月にかけて、フジテレビ系ノイタミナ枠でアニメが放送された、「君嘘」こと「四月は君の嘘」の桜から記事をスタートすることにしましょう。桜と言えばやはりこの作品でしょう。放送終了から3年経った2018年4月に情報サイト「アニメ!アニメ!」が行った「桜を見て思い出すアニメ作品といえば?」というアンケートでも、2位以下を大きく突き放して1位を獲得するなど、とにかく桜の印象が強いこの作品。東京近郊で桜が満開を迎える「四月」がタイトルに含まれているのみならず、原作マンガ、アニメともタイトルロゴの下に小さく「I met the girl under full-bloomed cherry blossoms, and my fate has begun to change.」という英文が添えられていることからも察せられるとおり、本作において桜は非常に重要な存在となっています。特にアニメ版では、二人が出会った桜の季節を、キラキラと輝くような極めて彩度が高く画面構成で描き、それまで「モノトーン」だった公生の世界が「カラフル」に色づく様を見る側に強く印象づけています。(参考:イシグロキョウヘイ監督インタビュー

 そんな「君嘘」に描かれた桜のモデルは大泉学園通り、石神井公園周辺、練馬文化センター、上石神井などの東京都練馬区内の各地にあります。桜の印象を特に鮮烈にするために実在しない桜が描き足されているカットも多々ありますが、石神井川沿いの遊歩道などは作中にも負けない密度で桜が咲き誇っており、満開の頃に足を運ぶと、作品のイメージを存分に堪能することができます。

 まずは1話冒頭の街並みを写すカットから。大泉学園駅北口から徒歩数分の大泉学園通りの桜並木です。ただの風景のみのワンカットですが、アニメ版においてこの場所は夏、秋、冬とそれぞれの季節に度々登場し、作中の季節の変化を印象づけてくれます。そして再び春が巡ってきた最終話でもまた桜の季節のこの場所が登場しますが、それまでのストーリーから、同じ景色でも受ける印象が全く違うという演出が映える場所になっています。

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大泉学園通りの桜(撮影日:2018.03.30)

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1話冒頭の満開の桜を見上げたカットを大泉学園通りで再現してみました。(撮影日:2018.03.30)

 こちらも1話冒頭、かをりが黒猫を追ってあちこち歩き回るシーンで登場した石神井公園の桜。一連のシーンはひたすら桜が描かれていますが、実在するのはここぐらいでしょうかね。桜の下に広いスペースがあり、近隣住民のお花見スポットとして人気を博しています。

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石神井公園の桜(撮影日:2016.03.31)

 所変わって、公生達が通う学校のモデルとなった杉並区立中瀬中学校の桜。若干早咲きな品種のようで他の場所の満開に合わせて行くとちょっと散ってしまってますが…

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中瀬中学校の桜。(撮影日:2018.03.30)

 そしていよいよ重要ポイント、公生とかをりの出会いのシーンの舞台となった練馬文化センター周辺です。大事なシーンゆえ演出上実際の風景より桜が多かったりしますが、作中とは違う位置ながら結構大きな桜の木もあり、けっこう雰囲気出ています。

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練馬文化センターの桜(撮影日:2018.03.30)

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公生とかをりの出会いのシーン。遊具も実在しませんが後ろの桜を入れるとわりとそれっぽく。(撮影日:2018.03.30)

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ホール前の広場の様子も、後ろの桜を入れるとわりと作中っぽい雰囲気にできたかな、と。(撮影日:2018.03.30)

 以下、作中のカットをイメージしつつ近いアングルで何枚か。

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(撮影日:2018.03.30)

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(撮影日:2016.04.06)

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これは2話のシーンより。(撮影日:2018.03.30)

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ホールの正面からの構図は他の話でも何度か登場しましたね。(撮影日:2016.04.06)

 ここからはアニメ第2話「友人A」より。下校中の公生が、渡のことを待っているかをりと出会い、そして「友人A、君を代役に任命します。」と言われたシーンで登場した桜並木の遊歩道です。ここのモデルは西武池袋線練馬高野台駅に近い、都営南田中団地の石神井川遊歩道です。団地沿いに約1kmにわたって桜が植えられており、満開の頃には遊歩道が桜のトンネルのようになります。もはや作中に描かれたよりも多いぐらいの勢いで桜が咲き乱れる光景はまさに圧巻の一言に尽きます!

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夕刻、渡を待っているかをり。(撮影日:2018.03.30)

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下校中の公生のカット。背後が完全一致する場所はないので、イメージの近い場所で。(撮影日:2016.04.06)

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「君を代役に任命します。」(撮影日:2018.03.30)

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(撮影日:2016.04.06)

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(撮影日:2016.04.06)

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(撮影日:2016.04.06)

 作中には登場していませんが、石神井公園周辺はあちこちに桜が植えられており、君嘘の舞台探訪以外でも桜を楽しめます。せっかくなので何カ所かご紹介。

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石神井公園・石神井池の桜(撮影日:2018.03.30)

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南田中団地の桜を作中とは別アングルで。団地の給水塔が印象的な光景を作り出しています。(撮影日:2018.03.30)

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練馬高野台駅から石神井川にやってくると最初に目に入るのがこれ。本当に圧巻の光景です。(撮影日:2016.04.06)

 ここまではシリーズ冒頭に登場する桜を紹介しましたが、最終話・第22話でも桜のシーンが登場します。そう、「四月は君の嘘」という作品は桜の季節に始まって、そして桜の季節で終わるのです――
 最終話で特に印象的なのは、やはり西武新宿線の踏切のシーンでしょう。モデル地は上石神井駅から武蔵関駅方面に向かって4つめの踏切です。これまで紹介してきた1~2話の桜が公生とかをりの「出会い」を彩る桜なら、これから紹介するのはかをりとの「別れ」の象徴でしょうか。踏切の先に舞い散る桜に、公生はいなくなってしまったかをりの面影を見ます。

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踏切の向こうに咲く桜に、かをりの面影を見る公生。(撮影日:2018.03.30)

 かをりの面影が消えた後、かをりが居たのと同じ側から、踏切のこちら側へ椿がやってくるシーンが後に続きます。そして椿は公生に、これから先のことを意識させる台詞をぶつけます。先ほどここの桜が象徴するのはかをりとの「別れ」だと書きましたが、それだけではなく、もしかすると公生、あるいは椿の「この先の新たな一歩」も彩っているのかもしれません。
 この場所の桜があるのは作中とは少し違う位置。しかし作中と同じ夕方に行くと、西日に照らされできれいに輝き、作中のイメージを強く感じることができました。

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踏切のこちら側にやってくる椿(撮影日:2018.03.30)

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桜は写っていませんが、とても大事なシーンなので他のカットも載せておきます…(撮影日:2018.03.30)

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(撮影日:2018.03.30)

 最後に番外編的なスポットではありますが、もう一カ所君嘘に出てきた桜スポットを紹介。ここまで紹介してきたように本作品は東京都練馬区の各地が舞台モデルとなったため、区の観光協会が公式に作品とコラボし、聖地巡礼マップやオリジナルグッズの販売などが行われました。その一環として発売されたクリアファイルの描き下ろしイラストとして、桜の季節の光が丘公園が描かれています。
 光が丘公園は大団地の中にある大きな公園で広場の周囲に多数の桜が植えられ、住民の憩いの場になっています。イラストには光が丘を象徴する景色であった清掃工場の煙突も描かれていたのですが、2016年から始まった建て替え工事のため、撮影に行った2018年にはその煙突がなくなってしまっていました。

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光が丘公園の桜(撮影日:2018.03.30)

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作中では花の咲く季節ではありませんでしたが、かをりが入院していた病院の前にも立派な桜が咲いていました。(撮影日:2018.03.30)

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「月がきれい」~川越・氷川橋、田谷堰など

 桜特集2作品目は「月がきれい」。2017年4月~6月放送の岸精二監督によるオリジナルアニメで、思春期まっただ中の男の子と女の子のピュアな恋愛模様を丁寧に描ききったことで注目を浴びました。本作の舞台は埼玉県川越市ですが、これも等身大の中学生たちをリアルに描き、そしてより多くの人に共感してもらうために、いくつかの候補の中から選ばれたとのこと。都会でも田舎でもなく、多くの人にとって現実的に見えるであろう風景をメインにしつつも、所々に絵になる風景がある場所、として川越が選ばれたそうです。(出典:おたぽる:「『実写でやればいいじゃん!』と言われたい」!? 今期“最ムズキュン”アニメ『月がきれい』南健PDインタビュー
 ロケハンも徹底して行われ、四季折々の川越の景色や風物が忠実に再現されています。それらは物語の舞台装置としても重要な意味を持っており、川越という街を非常に印象的かつ魅力的に見せてくれた作品でもありました。

 そんな中学生たちの恋物語に、やはり桜は欠かせぬ存在でしょう。本作は中学3年生の1学期始業式の日に小太郎と茜が同じクラスになるところから始まります。その後、1年間を過ごすうちにふたりは距離を縮めていき、そして中学校を卒業したところまでが描かれて終わりを迎えます。つまり、この作品も先ほど紹介した「四月は君の嘘」と同様、桜で始まり桜に終わるアニメであるのです。(その意味合いは大きく異なりますが。)

 本作に登場する桜といえばやはりなんと言っても、市内を流れる新河岸川に架かる氷川橋の光景でしょう。狭い川幅の両岸に隙間無く桜が植えられ、川面の上は完全に桜の花で覆われます。この見事な光景は、作品の放送が始まる前に公開されたティーザービジュアルの場面としても使われているほか、1話の冒頭や7話からのオープニング映像で川越の街並みを写すシーンにも登場しています。また桜の季節以外にも物語が大きな転機を迎えるシーンで何度も登場し、作品を象徴すると言える場所となっています。

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ティーザービジュアルの構図で。比較画像はアニメイト川越店で撮った監督と茜役の小原さんサイン入りボードですw(撮影日:2018.03.30)

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ほぼ同じ構図が1話本編冒頭でも登場。風が吹くとこんな感じで花びらも舞い散り、まさにこの通りの光景でした。(撮影日:2018.03.30)

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同じく1話より。(撮影日:2018.03.30)

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桜アップのカットもそれっぽく再現。(撮影日:2018.03.30)

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これ以後は7話からの新OP映像のカット。朝9時頃の撮影ですが、光の当たり具合までそっくりに撮れました。(撮影日:2018.03.30)

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(撮影日:2018.03.30)

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場所は違うかもしれませんが桜吹雪がちゃんと撮れていたので掲載w(撮影日:2018.03.30)

 以下作中とは違うアングルで2枚ほど。

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(撮影日:2018.03.30)

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散り始めると川面が一面に花筏で覆い尽くされ、これもまた美しい光景です。(撮影日:2018.03.30)

 ここからは最終話・第12話のカットを紹介。桜というと満開の情景をイメージしがちですが、このアニメでは咲き始めたばかりの頃の桜も描かれています。最終話は中学校の卒業式前後のエピソード。満開の桜が描かれた1話よりも前の話になるので、まだ咲きかけの景色になるのもリアルなところです。(まぁ実際の川越市立中学校では3月15日頃に卒業式が行われるそうなので、開花が早かった2018年でもまだ全く咲いていないんですが…そこは演出の都合と言うことでw)
 12話で出てきた桜のカットは、1話の氷川橋ではなく、川沿いに5分ほど歩いたところにある「田谷堰(たやぜき)」というところ。昭和13年(1938年)竣工のレトロな取水堰が絵になるシーンです。作中の開花状況に合わせ、満開前、まだ5分咲きぐらい?のタイミングで撮影してきたので、その様子を紹介します。

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田谷堰付近の新河岸川(撮影日:2018.03.25)

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同じカットをほぼ満開の日に撮るとこうなります。(撮影日:2018.03.30)

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茜と小太郎が待ち合わせていた田谷堰。咲き始めの光景。(撮影日:2018.03.25)

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同じ場所を満開の日に(撮影日:2018.03.30)

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以下、作中と同じ開花状況で何枚か。(撮影日:2018.03.25)

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(撮影日:2018.03.25)

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(撮影日:2018.03.25)

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(撮影日:2018.03.25)

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(撮影日:2018.03.25)

 アニメ作品の場合、実写と違って背景として映り込む風景も演出の都合で描き足したり取り除いたりと編集を自由に行えるのが大きな強みかと思います。この作品でもそれは行われており、実際には桜がないところに描き足されているカット、逆に、実際には桜があるのに描かれていないカットがどちらも存在しました。
 前者のパターンは1話のこちら。氷川橋、田谷堰からさらに新河岸川を遡り、菓子屋横丁にほど近い辺りまで来たところにある風景ですが、作中と違いこの場所に桜は実在しませんでした。

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1話冒頭で満開の桜に彩られた川越の街並みが何カットか続く中で登場したカットの一つ。実際には桜がありません。(撮影日:2018.03.25)

 一方後者、桜があるのに描かれなかったのが最終話のこのシーン。小太郎の思いを受け止めきれず一人走って逃げてきてしまった茜が立ち止まり、うずくまるシーン。実際にはこの通り、満開前でも十分立派な桜の木があるのですが、作中では描かれていませんでした。

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最終話で茜がうずくまるカットには桜があるのに描かれませんでした。(撮影日:2018.03.25)

 この辺りの改変は果たして演出上の意図があるのか、それとも単に作画時に参考にした写真が違う季節のモノだったというだけなのか、実際の所は分かりませんが、演出意図だとしたら何をもくろんでなのかな?などと考えながら現地を巡るのもまた楽しいかもしれません。

 さて川越の桜は本編に出てきた場所に止まりません。探訪ついでに他にもいろいろ回ってきましたのでいくつか紹介します。
 まずは作品関係各地から。作中何度も出てきた川越熊野神社。表から入ってパッと目に付く桜はないのですが、本殿脇の、ある意味作中で最も重要なあの場所には山桜が咲いていました。

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川越熊野神社の山桜(撮影日:2018.03.30)

 これも桜のシーンではありませんが、10話のお祭りの様子が描かれた蓮馨寺(れんけいじ)も桜が見事です。

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蓮馨寺の桜(撮影日:2018.03.30)

 さらに本編とは無関係の場所も。川越警察署近くの新河岸川の桜は、氷川橋周辺とは違い空が開けていてとても開放的なイメージのあるスポットです。氷川橋から歩いて30分ぐらいかかりますが、一見の価値あり。桜並木を見ながらさらに15分ほど歩くと、最終話ラストで小太郎が茜の乗る電車に向かって「大好きだ!!」と叫んだあの場所にもたどり着くので、探訪の途中にオススメです。

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川越警察署付近の新河岸川の桜(撮影日:2018.03.30)

 川越の観光名所と言えばやはり「時の鐘」を始めとする蔵のまちエリアですが、少し離れたところにある「川越大師 喜多院」も負けず劣らずの有名どころです。平安時代から1200年にわたって続き、江戸時代には将軍・徳川家から厚い庇護を受けたため江戸城から移築された建物が現在まで残されているなど、多数の文化財を有するお寺です。近隣の「中院(なかいん)」とともに桜の名所としても知られ、境内至る所にソメイヨシノやしだれ桜が植えられており、歴史ある建物との共演を楽しめます。
 喜多院、中院自体は「月がきれい」には登場しませんが、6話のおまけコーナーで美羽と稲葉がSNS映え写真を必死で撮っていたカフェのモデル「CAFE ANTI」は喜多院のすぐ脇なので、一緒に行くのが吉かと思います。

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川越大師 喜多院の桜(撮影日:2018.03.25)

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喜多院のしだれ桜。ソメイヨシノより少し早く見頃を迎えるので、一足先に満開の桜を堪能できます。(撮影日:2018.03.25)

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こちらは中院で撮影。「月がきれい」の探訪中ということで、昼間の月と満開のしだれ桜を合わせて撮ってみましたw(撮影日:2018.03.25)

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「放浪息子」~世田谷区大蔵団地周辺

 2011年1月~3月のノイタミナ作品「放浪息子」でも印象的な桜のシーンがありました。第1話、姉の服を勝手に着ているのを見られてしまった主人公・二鳥修一は、裸足のまま家を飛び出し街中を逃げるように走り回ります。その途中、夜桜に彩られた橋の上で彼の友人であり理解者である高槻よしのと遭遇します――この印象的なシーンの舞台となったのは、世田谷区大蔵3丁目にあり、大蔵団地と日大商学部を結ぶ「弥生橋」というところ。この橋が跨ぎ越す世田谷通りは桜並木になっており、橋の上から両側に並ぶ桜を見渡すことができます。周辺は「せたがや百景」のNo.63にも選定されているそうで、花見スポットとしてそこそこ知られているようです。(参考サイト)意図してライトアップなどされているわけではありませんが、街灯と車のヘッドライトに照らされる夜桜もこれはこれで印象的な光景です。

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弥生橋から見た世田谷通りの桜並木。(撮影日:2011.04.10)

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(撮影日:2011.04.10)

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(撮影日:2011.04.10)

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(撮影日:2011.04.10)

 ただ残念ながら、この写真を撮った翌年、この場所の桜が大幅に剪定されてしまい、これほどまでにダイナミックな光景を見ることはできなくなってしまいました。枝が道路上に大きく張り出していたので交通の支障になる等の理由があったのかもしれませんが、やはりとても残念でした…
 この場所の桜は、放送が終わって以後も見頃に合わせて毎年写真を撮り続けているので、最新の2018年撮影分まで一挙に掲載していきたいと思います。

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剪定されてしまった最初の年。(撮影日:2012.04.07)

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(撮影日:2013.03.23)

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(撮影日:2014.03.31)

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(撮影日:2015.03.28)

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(撮影日:2016.03.31)

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(撮影日:2017.04.08)

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選定から6年経った2018年の様子。そこそこ枝が伸びてきましたかね?(撮影日:2018.03.30)

 この作品も演出の都合で実在しない場所に桜を置くことが多い作品なので、1話の印象を求めていくと弥生橋以外はあまりそれっぽくありませんw ただ近い場所に桜がある所はあるので、そういった場所では作中の雰囲気を感じ取ることができます。例えば弥生橋にたどり着く直前に出てくる、団地の中のカーブミラー。ここはほぼ同じ感じに桜があります。

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カーブミラーの後ろの夜桜も再現。(撮影日:2011.04.10)

 また同じく1話の中学校入学式への登校シーンでも、モデルとなっている砧小学校脇の階段に、作中とは少し違う位置に桜があります。

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砧小脇の階段(撮影日:2011.04.10)

 修一たちが住む団地のモデル・大蔵団地。作中に出てきた奥の方にはあまり桜がありませんが、前述の通り弥生橋・世田谷通り付近は桜が並んでいるので、上手く使うとそれっぽいイメージを再現できます。例えば先ほどの弥生橋を別アングルで撮るとこんな感じ。

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弥生橋を別アングルで(撮影日:2013.03.23)

 作品と直接の関係はありませんが、作中で学校のモデルとなった砧小のすぐ近くにある「妙法寺」というお寺が桜スポットとしてお気に入りなので紹介します。小さなお寺ではありますが、遥かに見上げる大きなしだれ桜の木があり、境内全体を覆い隠さんばかりに花を付けます。夜にはライトアップが行われ、昼とは違った光景を楽しむことができます。全国的に有名な観光スポットというわけではないので花見客もそれほど多いわけではなく、落ち着いて夜桜を楽しめる穴場スポットです。

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世田谷区大蔵・妙法寺のしだれ桜。(撮影日:2012.04.07)

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見上げるほど大きな木なので、視界いっぱいに桜色が広がります。(撮影日:2012.04.07)

 また作中の中学校のモデルとなった砧小自体も、推定樹齢100年という巨木が校庭にあるため桜の名所として知られています。学校敷地内なので基本的には立ち入ることはできませんが、「放浪息子」が放送されていた2011年頃やその後数年は桜の季節に開放を行っており、タイミングが合えば見ることができました。(最近の状況は未確認。)

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砧小学校の百年桜。タイミングが合わず咲き具合は微妙ですが、満開はさぞかし素晴らしいのでしょう。(撮影日:2011.04.03)

 ちなみに本作「放浪息子」のアニメ第7話では、イシグロキョウヘイさんと愛敬由紀子さんがコンテ&演出および作画監督を担当されていますが、この回がきっかけで同じノイタミナの「四月は君の嘘」の監督・キャラデザがこのお二人になったのだとか。(出典:君嘘公式サイト 斎藤俊輔プロデューサーのインタビューより)どちらの作品にも印象的な桜のシーンがあるのは偶然ではないのかもしれないですね。

 桜のシーン以外の「放浪息子」に登場した舞台に興味がある方は、当サイトの探訪記事を是非ご覧下さい。

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「秒速5センチメートル」~渋谷区参宮橋公園周辺

 「君嘘」の項目で紹介した「桜を見て思い出すアニメ作品といえば?」のアンケートで2位を獲得したこの作品も、桜特集と題するこの記事には欠かせないでしょう。
 背景の美しさで特に名を馳せる新海誠監督が2007年に手がけた「秒速5センチメートル」。連作短編第1章のタイトルがずばり「桜花抄」である通り、満開の桜がとても印象深い作品です。

 ただこの作品、基本的には徹底したロケハンを元に実在する景色を大変忠実に描いている作品なのですが、こと桜となると実在しない所に描き足されているパターンがとても多く、舞台探訪という視点では少し物足りなさを感じてしまうかもしれません。しかしそこは日々鍛えた妄想力の出番(?)。大事なシーンのあの場所の、作中とは少し違う場所にある桜を眺めつつ、作品の空気は心の眼で感じるのです…ww

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参宮橋公園の下の坂。ここに桜はありません。(撮影日:2015.03.29)

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同じく参宮橋公園の下の坂。ここも桜の姿はなし。(撮影日:2015.03.29)

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クライマックスシーンの小田急線の踏切、ここにも桜はないので、心でしっかりイメージするのです…w(撮影日:2015.03.29)

 参宮橋公園については、坂を上がりきったところには桜の木があるので、ここではかなりそれっぽい雰囲気を味わえるかもしれません。

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参宮橋公園の桜。敢えて作中カットを並べると、それっぽく思えてくるかもしれません…(撮影日:2015.03.29)

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秒速5センチメートルの舞台地の少し脇で、ちゃんと秒速5センチメートルの速度で桜の花びらは落ちていきます。(撮影日:2015.03.29)

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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」~千葉公園

 2013年4月~6月放送の、「俺妹」こと「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」テレビアニメシリーズ第2期。千葉都市モノレールとのコラボ企画等々もあったことから舞台が千葉であることはよく知られていることかと思います。
 アニメ2期のオープニング映像は、毎回カットの差し替えがあったりして一定しなかったのですが、春アニメと言うことで桜のカットが結構出てきていました。その中の一つ、京介が黒猫と歩く千葉公園の桜は映像中での再現度も高く、なかなか良い雰囲気でした。千葉公園と言えば、同映像中にも描かれているとおり古代の蓮を復活させた「大賀ハス」が有名ですが、桜のスポットとしても知られているようで、夜にはライトアップも行われているそうです。

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俺妹2期OPに登場した千葉公園のしだれ桜。(撮影日:2013.04.07)

 「俺妹」シリーズの舞台探訪記事はこちら

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「りゅうおうのおしごと!」~大阪城公園

 ここまでの作品は全て関東地方の桜を描いたアニメでしたが、ここからはそれ以外の地域にも目を向けてみたいと思います。かなり直近の作品ですが、2018年1月~3月放送の「りゅうおうのおしごと!」は大阪市を舞台にした物語。1話ラストの特殊OP的な映像とシリーズ締めくくりの第12話ラストシーンで登場した、八一とあいが満開の桜の下で将棋を指すシーンは、大阪のシンボルの一つである大阪城の桜をモデルに描かれました。大阪の桜の名所といえば一二を争うレベルの超有名スポットかと思います。「お城と桜」という「いかにも日本っぽい」景色が見られるためか、非常に人気の高い観光地になっているようでした。

 広大な大阪城公園はあちこちに無数の桜が植えられており、お花見スポットはたくさんあるのですが、作中に描かれたように桜に埋もれるかのような天守閣の写真を撮影するなら「西の丸庭園」から見るのがよさそうです。広大な芝生広場の周りに300本の桜が咲き誇る城内屈指のお花見スポット。通常入園料が200円の所、桜の季節は350円に値上がりしますが、払ってでも入る価値はあるのかなと思いました。

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西の丸庭園の桜越しに見た大阪城天守閣(撮影日:2018.03.31)

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完全一致はしませんが、お花見の様子もまあまあそれっぽく。(撮影日:2018.03.31)

 ちなみに有料の西の丸庭園に入らなくても、似たような構図で天守閣を望めるスポットは他にもあります。例えば大阪城ホールから天守閣へ向かう途中辺りからもこんな感じで、かなり近いイメージの写真が撮れました。

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青屋門付近から撮った桜と天守閣(撮影日:2018.03.31)

 作中アングルとは関係ない写真も2枚ほど。

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玉造口付近からお堀沿いの桜を眺める(撮影日:2018.03.31)

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西の丸庭園の全景(撮影日:2018.03.31)

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「響け!ユーフォニアム」~京都市・六地蔵駅、宇治市・あじろぎの道周辺

 西日本の街を舞台にしたアニメで印象的なものといえば、やはりその名の通り京都に本拠を置く、京アニこと「京都アニメーション」製作の作品を挙げないわけにはいきません。ここからは京アニ作品に描かれた桜を、京都から東へ向かう順に、4作品続けて紹介していきます。
 最初は京アニのお膝元・京都府宇治市が舞台の「響け!ユーフォニアム」。2015年4月~6月のアニメ1期以降、総集編劇場版やテレビシリーズ第2期、さらにはスピンオフ作品や完全新作の劇場版の公開も決まるなど息の長い展開が続く人気作品です。
 高校の吹奏楽部の青春模様を描く本作は、「部活モノ」の定番通り、主人公の久美子が高校に入学し、吹奏楽部に入るところから物語がスタートするわけで、そこにはやはり桜に彩られた風景が背景として登場します。第1話ではいろいろなところに桜が描かれていたりもしますが、印象的なのは京阪六地蔵駅前と宇治川沿いのあじろぎの道かなと思いますので、その2カ所を紹介します。

 まずは京阪六地蔵駅前。作中では北宇治高校の最寄り駅と設定されているようで、久美子、葉月、緑輝の通学路として作中よく登場した場所です。駅前にはバスロータリーがあり、その奥にそこそこ大きな桜の木が一本だけ植えられているという情景が作中でも忠実に再現されていました。

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京阪六地蔵駅前の桜(撮影日:2018.03.31)

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久美子達の横顔を写したカット。風向きによっては作中同様花びらが舞い散っていました。(撮影日:2018.03.31)

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(撮影日:2018.03.31)

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空に花びらが舞っているカットがあったのでそれを狙って撮ってみたりなどw(撮影日:2018.03.31)

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(撮影日:2018.03.31)

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残念ながらこの日は風向きが違ったせいか、信号機の押しボタン下に花びらは積もっていませんでしたw(撮影日:2018.03.31)

 つづいて宇治川周辺。この辺りは宇治を代表する名所旧跡が並ぶエリアですので、通常の観光でも訪れる機会の多いエリアかと思います。
 メインの舞台ではありませんが、宇治神社の鳥居脇の桜も1話に登場しました。

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宇治神社の桜(撮影日:2018.03.31)

 1話冒頭、入学式の日の初登校中に久美子が歩いた「あじろぎの道」。国宝であり世界遺産でもある平等院鳳凰堂と宇治川の間を通る遊歩道で、作中のように春には桜のトンネルのようになります。メインの観光エリアまっただ中ですので、天気の良い春の午後には多くの観光客が訪れていました。

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あじろぎの道の桜(撮影日:2018.03.31)

 遊歩道の途中には、作中で久美子が何度も座ったあのベンチも実在します。「久美子ベンチ」などと呼び習わされており、作品ファン的にはこの近辺で一番有名な「聖地」かもしれません。画面を彩ったベンチ脇の桜もちゃんと実在しており、作中の雰囲気そのままの光景がそこにあります。
…………が、撮影に行った2018年の桜の季節は目の前で宇治川の護岸工事が行われていたため、わりと残念な景色になってしまっていました…少しでも見栄えがするようなアングルを工夫して撮ってみましたが、工事が終わった後にまた訪問したいところです。

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いわゆる「久美子ベンチ」の桜。2018年現在工事中。(撮影日:2018.03.31)

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(撮影日:2018.03.31)

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(撮影日:2018.03.31)

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対岸からのカット。実はこのとき久美子ベンチの真下に重機がいてあまりにも見栄えが悪かったので、都合良く手前にあった桜を映り込ませてなんとか隠してみました…w(撮影日:2018.03.31)

 作品には登場しませんでしたが、十円硬貨の表面(裏じゃないですよ)に刻印されていることでお馴染みの平等院鳳凰堂はすぐ近くなので、ユーフォの聖地巡礼と一緒に「10円玉の聖地巡礼」に合わせて行くのもオススメですw 境内にはしだれ桜も多く植えられ、開花期にはライトアップつきの夜間拝観も行われるようです。あじろぎの道のソメイヨシノとは見頃の時期が若干ずれるのが悩みどころではありますが、桜と鳳凰堂のコントラストはとても映える光景でした。

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しだれ桜と鳳凰堂。(撮影日:2018.03.31)

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「中二病でも恋がしたい!」~大津市・穴太駅

 京都から山を一つ越え、琵琶湖のほとりの滋賀県大津市にやってくると、そこには「中二病でも恋がしたい!」シリーズの舞台があります。2012年10月からアニメ第1期の放送が始まった本作は、京アニが自社で刊行するライトノベルレーベル「KAエスマ文庫」のアニメ化第一弾であり、言ってみれば京アニ自社ブランド作品シリーズの嚆矢となった作品です。作中で舞台のモデル地が明言されることはありませんでしたが、滋賀県日野町の旧鎌掛(かいがけ)小学校が勇太や六花達の通う高校のモデルになっている他、彼らの暮らす街の風景は大津市の石山、浜大津、穴太など京阪石山坂本線周辺に実在しています。

 この作品も高校生が主人公のアニメの御多分に漏れず、入学式の日のボーイ・ミーツ・ガールから物語がスタートするので、やはりそこには桜が描かれています。本稿ではその中から、京阪電車の穴太(あのお)駅の桜をピックアップして紹介します。

 作中で勇太と六花が通学の足にしている電車は京阪石山坂本線がモデルです。この路線は路面電車と普通の電車のあいのこといった感じの独特の風情をもつ路線で、比叡山の麓である瀬田川沿いの石山寺駅から大津市街を縦走し、比叡山の麓である坂本比叡山口駅までを結んでいます。作中で学校の最寄り駅として登場するのは、終点の坂本比叡山口から二つ手前の穴太駅。とても小さな駅ですが、石山寺行きのホームには一本の大きな桜の木が植えられており、アニメではかなり際立たせて描かれていました。

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京阪石山坂本線・穴太駅の桜。見上げるとかなり背の高い木です。(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

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桜咲くホームに止まる電車はなかなか絵になる光景。だからこそモデル地として登場したんでしょうかね。(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

 この作品は主人公達の日常生活の舞台として石山坂本線沿線の風景を使っているため、駅や橋などの何気ない風景ばかりが登場していますが、実はこの沿線には多くの名所旧跡があります。桜で有名なスポットも何カ所かありますので、せっかくなので合わせて紹介したいと思います。

 まずは穴太駅の2つお隣、終点の坂本比叡山口駅からすぐの所にある日吉大社の参道。比叡山の麓にあり、言い伝えでは2100年も前からこの地に座しているとされるほど、悠久の歴史を持つ神社です。紅葉の名所としても広く知られている神社ですが、実は「日吉の馬場」と呼ばれる参道には両側にいろいろな種類の桜がずらりと植えられており、秋の紅葉に負けず劣らず見事な光景を見ることができます。参道の一番奥から振り返ると、緩やかに下る桜並木の咲きに琵琶湖の水面が見えるという絶景が広がっていました。

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日吉の馬場の桜並木。奥には琵琶湖が見えています。(撮影日:2018.04.01)

 「中二恋」作中にも登場したびわ湖浜大津駅のお隣三井寺駅付近も桜の名所。駅名の由来となった三井寺(みいでら、正式名は園城寺(おんじょうじ))とその手前の琵琶湖疏水の桜はそれは壮観で、電車の中からは三井寺のある山の中腹が一面ピンク色に染まって見えるほどです。

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琵琶湖疏水の桜(撮影日:2018.04.01)

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訪問日の数日前に、67年ぶりに復活したばかりという観光船がトンネルから出てくる光景も見られました。(撮影日:2018.04.01)

 ちなみに花の季節の登場ではなかったので本記事では触れませんでしたが、この疏水沿いの道は「有頂天家族2」の第2話で登場しています。

 石山坂本線はアニメ作品を含むラッピング車両を多数運行していることでも知られており、過去には本作「中二病でも恋がしたい!」のラッピング車両が走っていたこともあります。そのほか、中二恋からの京アニ作品繋がりで「けいおん!」や「響け!ユーフォニアム」、また競技かるたの聖地である近江神宮も沿線にあることから、同競技を題材にした「ちはやふる」などなど、様々なラッピング車両が走っています。そんな車両をこの琵琶湖疏水の桜と絡めて撮影するのも定番ネタになっているようです。訪問した2018年3月末からはユーフォのラッピングが再び行われていた期間だったのですが、たまたま運休日だったためその写真を撮ることはできませんでしたが…

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疏水の桜と石山坂本線(撮影日:2018.04.01)

 そして三井寺です。ここは山の中腹に位置する境内全体に1500本ほどの桜が植えられているとのことで、先ほど書いたとおり麓から見上げると山の中腹が全部ピンク色に見えるほどです。ちょっとした展望台のような場所もあり、手前に雲海のごとく広がる桜越しに大津の街並みを見渡すのもまた乙なものでした。

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三井寺から眺める桜と大津の街並み(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

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「聲の形」~大垣市・美登鯉橋

 滋賀からさらに東隣の岐阜県にも京アニ作品の聖地が2つ、現在の県域に含まれる旧美濃国エリアと旧飛騨国エリアにちょうど一つずつ分布しています。そのうち美濃地方の大垣市を舞台のモデル地とするのが、2016年公開の「映画 聲の形」です。聴覚障害やいじめというセンシティブな題材を扱いつつも、本質的には人と人とがどうコミュニケーションしていくかを模索する姿を描いた本作品。そんな日常生活の中で誰もが経験しうる物語を裏打ちするもののひとつが、非常に強いリアリティを与えつつも、アニメ映画としての美しさも兼ね備えた背景画であると思います。

 本作品の物語は4月中旬、モデルとなった大垣市周辺の桜が実際に満開になる季節よりは少しあとからスタートしていますが、冒頭には満開の桜が描かれています。映画後半で起こるあれやこれやの展開と比べれば、桜の下で繰り広げられたエピソードの印象はそれほど強いモノではないのかもしれません。しかし、山田尚子監督がこだわり抜いた映像描写のそのあまりの鮮烈さから、この桜のシーンは「映画 聲の形」を象徴するシーンの一つと言ってよいほど強いイメージを持っていると思います。

 そんなシーンのモデルとなったのは、大垣市街地の中を流れる「水門川」に架かる「美登鯉橋(みどりばし)」。江戸時代に大垣城の外堀として築かれた川がクランク状に折れ曲がる地点に架かる橋で、特に桜の名所として地元では人気を博している場所のようです。作中で描かれた桜も相当印象の強いものでしたが、実際のこの場所に咲く桜はそれに劣らないどころか、場所によっては作中よりも盛大に咲き誇っているのではないかと思えるほどの素晴らしい眺めでした。

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大垣市・美登鯉橋の桜(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

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橋と桜を真正面から。作中の桜よりも密度が高い気すらします。(撮影日:2018.04.01)

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橋上の様子。比較としておいたカットは福祉会館から見た構図ですが、実際に橋のたもとに大垣市総合福祉会館があります。(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

 美登鯉橋周辺は川縁が広場になっているので、作中でも出てきた橋の下からの構図も見ることができます。正確には作中で将也と硝子が立っていた場所とは川の反対側になりますが。あと、マネをして飛び込んではいけませんw

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(撮影日:2018.04.01)

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作中と同じ位置に、同じように桜の花びらが溜まっていました(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

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時間帯の都合で作中とは逆向きですが、橋の下に水面で反射した光が揺らめく様も、本作では見事に再現されていました。(撮影日:2018.04.01)

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作中で二人がいた場所には入れないので対岸から。(撮影日:2018.04.01)

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作中では少し日にちが経って葉桜のシーンとして描かれた構図ですが、写真は満開の状態で。(撮影日:2018.04.01)

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(撮影日:2018.04.01)

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「氷菓」~高山市・斐太高校、臥龍桜

 そして最後に紹介するのが岐阜県飛驒地方・高山市が舞台の「氷菓」です。同市出身の作家・米澤穂信の「〈古典部〉シリーズ」が、2012年に京都アニメーションの手によりテレビアニメ化された本作品。「古典部」に入部した折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花の4人を中心に、高校生活の中に潜む日常の謎を解き明かしていくわけですが、これも言ってみれば「学園モノ」だったり「部活モノ」のうちなわけでして、やっぱり彼らが入学・入部する4月の桜の季節から話がスタートします。……とは言っても、山間部に位置する高山市では桜の開花・見頃の時期は平野部と比べると2週間ほど遅く、満開は概ね4月の中旬から下旬になるようです。なので、実際には入学式から少し経って高校生活にも慣れはじめてきた頃に満開になる、というタイミングなのでしょうかね。それでもやはり新たな高校生活の始まりを描くなら桜で彩られていてほしい、という作り手の思いがあるのでしょうか。1話本編のみならず、本作の放送開始を告知するポスターのビジュアルにも桜が描かれていました。

 作品キービジュアルや1話で描かれた桜は、奉太郎達が通う「神山高校」のモデルとなった、「岐阜県立斐太(ひだ)高校」のものです。ポスターに描かれたグラウンド脇の桜などは一見学校敷地内に思えますが、公道だそうなので一般人でも見に行くことができます。(撮影などする場合はもちろん学生への配慮を忘れずに。)
 写真はテレビアニメ第1話が放送された翌週の2012年4月28日撮影。開花の遅い高山とはいえさすがに満開は過ぎ、かなり散ってしまっていましたが、それでもなんとか少し残ってくれていたのでこの桜特集の記事の一部として紹介します。

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キービジュアルにも描かれた斐太高校の桜(撮影日:2012.04.28)

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ほぼ同じ地点が1話本編にも出てきます。(撮影日:2012.04.28)

 校門周辺の桜も登場しています。なおこの写真を撮った後、手前の橋を含めた大規模な改修工事が行われたため、2018年現在では景色が大幅に変わっているようです。

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校門の桜(撮影日:2012.04.28)

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校門前の橋。どうやら現存しないようです。(撮影日:2012.04.28)

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(撮影日:2012.04.28)

 1話の斐太高校周辺以外にも印象的な桜が本作には登場します。それが最終話に出てきた飛驒一ノ宮近くの「臥龍桜(がりゅうざくら)」です。推定樹齢1100年というエドヒガンの巨木は、文字通り臥(伏)した龍の姿に似ていることからこう呼ばれているそうです。最終話ではいよいよえるのことを意識しだした奉太郎の心象風景を反映してか、かなりビビッドな色合いでとても印象的なシーンとして描かれました。作中でも「狂い咲きの桜」と言われているとおり、実際の生きびな祭りが行われる4月3日頃に開花していることはまずありませんが、まあこれも演出効果を優先したと言うことでw
 訪問は2013年のゴールデンウィーク初日。見頃はだいぶ過ぎた上に雨でさらに散ってしまっていますが、大きい木なので遠景はなかなかに見事でした。

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飛驒一宮の臥龍桜(撮影日:2013.04.27)

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(撮影日:2013.04.27)

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更新履歴
初回記入:2018.04.11